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ツァイガルニク効果の罠と効用 1/2

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私たち人類は、完了したことよりも、途中で中断された出来事を記憶し続ける。

 

この傾向の事を心理学の世界では、

 
『ツァイガルニク効果』という。

 
日本人からすると、発音しにくい変な名前だと感じるだろう。


日本語だと、ゼイガルニクと表記されたりもするのだが、ややこしい。

このように、日本語ではよく外国語の日本語表記があちこちで違っているので、全て統一して欲しいと思っている筆者である。


ちなみに英語では「Zeigarnik effect」表記が統一されてるのが心地いいですな✨


それはともかく。。

 

 
この名称の由来は、ロシアのブリューマ・ツァイガルニク(ゼイガルニク)さんという、心理学者から来ている。

 

今回は、この現象が発見されるに至った経緯を解説しよう...

 


ある日、ツァイガルニクさんは、友人と共にレストランに行った。

 

その日は、特別お腹が空いていたので、ウェイターに、友人と沢山の注文をした。

 


沢山の注文をしたのだが...なんと、そのウェイターはメモすら取らずに、オーダー聞いたのだ。

 
「ちゃんと覚えていられるんですか?」

 
と、彼女が聞くと店員は、

「僕、記憶力には自信がありますから!(ドヤァ)」と言った。

 


本当かよ...

これで取り間違えたらブチのめす


などと思いながらも、ツァイガルニクさんは友人とたわい話をしながら待っていると、先程の店員が両手に美味しそうな料理を乗せてやって来る。


そして、見事に、寸分違わずオーダー通りの物が届けられたのだ。


その日は、「うわぁ、あのウェイターの記憶力..」と思いながらも、美味しく料理を頂き、会計を済ませて店を出た。


店を出た...ところでツァイガルニクは、カバンを引っ掻き回した後、重大なことに気づく。


「あれ?...私の大切なマフラーが...ない!?」


まあ、あの店員に聞けば大丈夫っしょ。

と店に戻ると、


「あなたが座ってた席にマフラーがなかったかって?どこの席か知りませんよ。そもそもアナタ誰です??」


などと、ふざけた事を言われたのだ。


「おいテメェ!‼!」とツァイガルニクはキレる。


「フザケんな!こっちは、テメェの驚異的な記憶力を知ってんだよ。ついさっき来た客のことくらい記憶してないわけがねぇだろ!?」


ツァイガルニクさんが怒鳴りつけると、その店員は言った。


「えーっと。僕が驚異的な記憶力を発揮するのは、オーダーが完了するまでの間だけなんです...はい。」

 

 

はぁ?と思いながらも、それでも、やはり変態の巣窟と言われる心理学の1人であるツァイガルニクは好奇心を煽られた。


そのマフラーは結局、他の店員がすぐ見つけてくれたというオチなのだが、


その後の彼女は、人間の記憶力と未完了の関係についての数々の研究を行い、ツァイガルニク効果を実証するのであった。

 

 

 

日常におけるツァイガルニク効果の事例

 

・卒業や転職などキリ良く疎遠になった友達よりも、自然消滅や喧嘩別れした友達のことをよく覚えてる。

・何か作業を別の用事のために中断されると、そのことをずっと考えてしまう。

・休日、友達といるのに、職場でやりかけていたプロジェクトのことばかり頭によぎる。

・ふとした瞬間、あのアニメの続きが気になって仕方ない。

・解決した大事件よりも未解決の小さな事件の方が記憶に残る。

・話を切り出しておいて「やっぱりいいや」と言われると興味がなかった話にも異常に興味が湧いてくる。

・過去のトラウマの想起もツァイガルニク効果による影響が大きい。

 

実は、人気の映画やアニメ、小説には、ツァイガルニク効果がふんだんに使われています。

 

 

今回は、ツァイガルニク効果が発見されるに至ったストーリーと事例を紹介しました。(かなり誇張を含んでいます..笑)

 

ツァイガルニク効果、一件すると邪魔者に見られがちなのですが、実は、使い方を少し工夫してあげると、良い方に転じて、生産性を爆上げしたり、私たちの人生の質を向上させる方向に利用できます。

 

メリット、デメリット、有用な使い方などは、次回解説します。

 

それでは〜。

 

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